ふいに思い出す『古民家・華の幹』
更新日:2020年2月22日
こんにちは。筑波大学芸術専門学群デザイン専攻の芹川瑠美です。
小田の麓に、地元の人をはじめ様々な人が集う憩いの場があることをご存知でしょうか?
それが古民家『華の幹(はなのき)』です。
実は以前のTAMARIBARオープニングイベントにて、華の幹に所属している菊池さんが「明日ぜひ来てみてよ!」と声をかけてくださいました。
訪問当日、華の幹という看板を探してドキドキしながら門をくぐりました。
かなり内部は広々としています。敷地面積は600坪もあるそうです。
その中心に母屋が佇んでいます。
目につくのはブルーシートで覆われた、大きなベランダのようなもの。
なんだろう?と思いつつ、母屋のステンドグラスで彩られたドアを開きました。
「ああ、いらっしゃい!」
迎えてくださったのは菊池さんと本日たまたま来ていた地域の方々です。
その一声と、中の暖かさにふっと力が抜ける思いでした。
ドアの先は広々とした玄関口になっていて、奥にキッチンがあります。そのすぐ手前にある机とテーブルに皆さん座っていました。
その傍には、なんと薪ストーブが!
ポカポカと暖かく、外から来たばかりでは離れがたい気持ちになります。
「昔は小学校によく置いてあったけど、今の人には珍しいよね」
いらなくなった場所から譲ってもらったストーブだそうですが、すっかりリビングの中心として馴染んでいます。火にぽんぽんとくべられる薪は大きさや形がさまざまで、売られているものではなさそうです。
「今薪を作ってるから、みにいく?」
是非とお願い致しまして、入り口から離れた庭に出ます。
倉庫の裏手に木々が積んであり、そこで男性2人がチェンソーを操っていました。
「大学生が来てくれたんだよ。せっかくだから薪を切ってみたら」
渡されたオノはずっしりとした重く、正直ビビっていたのですが、とても丁寧に振り下ろし方をレクチャーしてもらいました。
少し片足を引いて、つかは広く持って、真っ直ぐに振り下ろす。
それは教え慣れた優しくもわかりやすい言葉でした。
毎週金曜日に地元の高校生が、華の幹にやってくるそうです。
今年で三年目の試みになります。木を切ったり、薪をくべたり、包丁をといだり、掃除したり……普通に生きていたらなかなかできないことを学ぶ場所でもあると言います。
授業の一貫といえど、高校生と教師となる方々の穏やかな繋がりが伺いしれます。
高校に限らず、筑波地区の学校、幼稚園、老人ホームと活動の輪は様々だそうです。
一刻の後にリビングでお茶をしながらお話をしました。
おやつのぜんざいやお土産にと渡された漬物は華の幹にやってきた人たちがお裾分けしてくれたものだそうです。ここにあるものはみんな、そういうふうにして、少しづつ持ち込まれたり修繕されたものばかりでした。
その暖かさに触れながら華の幹の成り立ちに耳を傾けます。
「華の幹」は2011年3月から修繕を開始しました。
もともと所有者はここら一帯の大地主でしたが、家がずいぶん古くなってしまって手付かずの状態でした。そこで飯塚さんが一念発起し、おばあさんから譲り受けます。
初めはメンバーでお金を出し合い食事を持ち寄り、大掃除をしなければなりませんでした。
分厚いホコリが積もった床を磨き、ホウキではらい、ドアを取り替えて見えてきた古民家の形。そこに家具から何やら持ち寄りました。
華の幹にある電灯がどれも違った種類なのは、そういう背景があるからです。
人を呼んでも大丈夫になってから、様々な活動を開始しました。
やがてイベントが実績として認められ、助成金をはじめ資金が貯まるとより改修を進めることができました。
今も季節の移ろいとともにイベントは開催されています。正月にはどんど焼きや餅つきが、4月には花見が、7月には祇園祭が。特に目を引くのは9月に行われる能に親しむ会です。
ブルーシートに覆われた部分は、能で使われる舞台でした。ここで発表会を行うそうです。
驚いたことに、この舞台も1からみんなで作ったそうです。
能面や着物が中に飾られています。
古民家ってボロボロなんじゃない?寒くて居心地が悪そう。
そう思っていた方にこそ行ってみてほしいです。
たくさんの人の、たくさんの力を借りて、今の形になった場所「華の幹」。
その暖かさとパワフルさをぜひ感じてください。
『華の幹』Facebook
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