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東福寺の万灯会を見にいったら、町の伝統を守る思いが見れた

こんにちは、人文・文化学群2年の飯田康幹です。

今回私は、つくば市栄にある東福寺の万灯会(まんどうえ)について紹介しようと思います。



東福寺は栄地区にある、真言宗のお寺です。ここでは毎年8月24日、万灯会(まんどうえ)が行われています。

万灯会は、明かりを供え、先祖から今生きる人、未来の人たちまでを思って手を合わせ、祈りをささげる行事のことです。明かりというのは仏教でお供え物の一つと考えられています。特に電気が普及する前はその考えは強く、例えば花火ももともとは供養のために行われたものもあります(隅田川の花火など有名なものの前身になったものもあります)。

万灯会にはお盆供養の側面もあります。これはお寺の行事の一つ、大施餓鬼会と結びついたものです。施餓鬼とは地獄に落ちた亡者のうち餓鬼道にいるもので、生前の行動ゆえ食べ物や飲み物にありつくことができません。彼らを救うのが施餓鬼供養で、このうち一年で最も大きく行われるのが大施餓鬼会です。現在では同じ日に行われています。



万灯会に欠かせない灯篭は、境内に30本ほどが建てられます。お寺の門から本堂に至る形で建てられ、あの世からの道しるべとなるのです。

灯篭には地蔵菩薩や蓮の花などが描かれます。奉納されるもののほか、お寺の方が描かれたもの、併設の幼稚園の子供が描いたものがあるそうです。

灯篭の明かりそのものの存在がお供えとなるため、絵柄の中にはジブリやアニメキャラクターなどが描かれたものもみられました。



いよいよ当日、午後から行われた大施餓鬼会が終わり、18時半ごろ、灯篭に明かりがともされます。夜のとばりが下りる中、灯篭が幻想的な光景を見せます。この灯篭の中にはガラスのお皿に入ったろうそくがあり、光源となります。コロナ以前はこのろうそくをお寺の参道沿いにも並べていたそうです。また元に戻った時にその光景が見てみたい…!



そして19時ごろ、念仏を唱えると本堂の中央にある秘仏が公開されます。今年は本来関係者のみのものですが、今回は特別に見せていただけました(写真は法要前に特別に撮らせていただいたものです)。住職さんや息子の副住職さんなどが、読経や護摩行を行い、護摩のありがたい煙を体の良くしたいところにいただきつつ本尊に手を合わせます。

柔和な顔をたたえる地蔵菩薩は、この地に逃れた平将門の娘、滝夜叉姫によりもたらされたという言い伝えがあるそうです。その石棺のフタが、本堂の近くに残っています。


8月24日というのは地蔵菩薩とのつながりが特に強まる縁日で、この行事の日程もここに由来しています。半世紀ほど前までは非常に規模も大きく地域を挙げた一大行事だったそうですが、現在では衰退しているのが現状です。さらにこのコロナ禍。規模はさらに小さくなり、今年は基本的には住職さんの一家、あるいは特に関係のある方しか呼ばれませんでした。しかし、時代が変わっても供養をしていこうという気持ちは変わらないと言っていたのが印象的でした。



読経も終わり、参加していた方にお礼にお供え物の梨が配られました。静かな中で、再び秘仏の扉が閉じられます。次にこの秘仏が見られるのは来年の万灯会です。


今回の取材、実はたまたま栄にこの記事のネタ探しをしに行ったらその日が万灯会前日であることを知り、準備の間にお話を伺い、さらには特別に見させてもらえるという、まさにとんとん拍子で進んだものでした。お寺の方に言われた「こうなったのも何かのご縁」という言葉が改めて身に沁みます。どの街にも地域の伝統があり、それを守り伝えていこうとする人がいる。当たり前かもしれませんが、そこに真摯に向き合うことができて本当によかったです。

東福寺の皆さん、本当にありがとうございました。


参考資料

東福寺の皆様

2021年8月31日最終閲覧

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